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近世貿易の誕生

オランダの「母なる貿易」

近世貿易の誕生
著者 ミルヤ・ファン・ティールホフ
玉木 俊明
山本 大丙
ジャンル 歴史 > 経済史
出版年月日 2005/05/15
ISBN 9784901654517
判型・ページ数 菊判・416ページ
定価 本体6,500円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

中世の地中海貿易に替わって,ヨーロッパの食糧不足を背景に16世紀以来,オランダとバルト海地方の穀物貿易がアムステルダムを中心に勃興した。それは〈母なる貿易〉として近代貿易システムの源泉となった。オランダはバルト海貿易を基盤にマルサス・サイクルから離脱し,近代国家として初めて持続的発展を成し遂げた。
近世商業の特徴は情報伝達の遅さ,船の難破や商品が届かないことに象徴される不確実性にあるが,近代になると通信手段の発達,貿易の必要日数の減少,輸送費用の低下,保険制度の発達により,それらの不確実性は減少する。また近世商人は安定した取引のために親族や同じ宗派の人々など顔見知りの関係を重視したが,近代の転換に伴いインパーソナルな関係が強まっていった。このように近世では取引費用は著しく高かったが,穀物貿易のプロセスをとおして費用は低減していった。
本書は商人活動,輸送費,情報,保護費用など取引費用に多角的な観点から光をあて,貿易輸送の効率性と費用の実態を考察,その全体像を初めて明らかにした画期的業績である。とくにわが国の学界にとって未知の領域を多く含み,近代史に関心のある読書の必読文献となろう。

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