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ルルド傷病者巡礼の世界

ルルド傷病者巡礼の世界
著者 寺戸 淳子
ジャンル 歴史
宗教
出版年月日 2006/02/28
ISBN 9784901654678
判型・ページ数 菊判・580ページ
定価 本体6,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 論
Ⅰ イメージの中のルルド
Ⅱ 数字でたどるルルド
Ⅲ 研究におけるルルド
Ⅳ 本論考の目的と構成
第1章 巡礼空間の構成
Ⅰ 19-20世紀のカトリック世界
Ⅱ 巡礼空間の構成
Ⅲ 巡礼空間の変遷と特徴
第2章 ルルド巡礼の歴史:傷病者巡礼の確立
Ⅰ ルルド巡礼前史
Ⅱ ルルド巡礼のはじまり
Ⅲ 「傷病者巡礼」の成立
Ⅳ 司教区巡礼の確立
Ⅴ ルルド巡礼の国際化:和解と平和
第3章 オスピタリテ
Ⅰ 社会編成の変化
Ⅱ 社会的紐帯と救済事業
Ⅲ 社会的カトリシズム
Ⅳ 〈救いの聖母オスピタリテ〉
Ⅴ 〈ルルドの聖母オスピタリテ〉と司教区オスピタリテ
Ⅵ オスピタリテ活動の現在
第4章 奇蹟的治癒
Ⅰ 19世紀の医学と医療
Ⅱ 〈医学審査局〉の成立と治癒審査の歴史
Ⅲ 奇蹟的治癒
Ⅳ まとめ:適切な奇蹟的治癒とは何か
第5章 傷病者巡礼の展開
Ⅰ 20世紀前半の傷病者を取り巻く状況
Ⅱ 第二次世界大戦後の傷病者巡礼:傷病者の自立と社会参加の要求
Ⅲ 〈ルルド-癌-希望〉
結 論
Ⅰ ルルドにはなぜ傷病者がいなければならないのか
Ⅱ 関係する理論領域

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内容説明

著者は聖地ルルドに立った時,自分には分からない「ひとつの世界」がそこに広がっているという強い印象を受けた。本書はその世界を探求した旅の報告である。
〈なぜルルドには傷病者がいなければならないのか?〉この問いをきっかけに,その舞台である巡礼空間の特徴を分析,傷病者が公の場で見せ物にされているという非難の意味を考察する。さらに傷病者巡礼という独自の形式が「フランスの救い」をめざす運動に連携しており,革命後に共和国政府とカトリック世界の提供する共同体イメージの正統性が争われていたことを明らかにする。
また傷病者を支援する中核的な奉仕組織であるオスピタリテの実態と意義を通して,伝統的な慈善と近代国家の福祉という異なる連帯の意味とは何か,そしてフランス社会の社会的紐帯の意味とその変容を考察する。
〈ルルドの泉に象徴される奇蹟的治癒とは何か?〉その治癒調査を担った医学審査局が奇蹟的治癒をどう認定したかが,医療化された社会や近代科学批判へ通じることを示し,さらには現代の傷病者巡礼が同時代に突きつけている問題が,病や死を社会の中にどう位置づけるかに関わっていることを明らかにして,傷病者をめぐる一世紀半に及ぶルルド巡礼の歴史が包括的に描かれた。

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