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オッカム哲学の基底

オッカム哲学の基底
著者 渋谷 克美
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
出版年月日 2006/04/30
ISBN 9784901654739
判型・ページ数 菊判・242ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

■序論 心の内の言葉と,心の外のものとの区別

■第Ⅰ部 存在について
1 14世紀におけるesseとessentiaに関する議論
2 スコトゥスの共通本性と個体化の理論に対するオッカムの批判
3 エギディウス・ロマヌスなど‘moderni’達の量独立説に対するオッカムの批判
補遺 スコトゥス,オッカムにおける様相論理と可能世界論

■第Ⅱ部 言語と論理について
4 オッカムのポルピュリオス註解――存在についての議論を,論理についての議論へと転換する
5 言語の階層
6 代示suppositioに関する,偽ルカルドゥスとオッカムの議論――述語づけの遂行態と述語づけの表示態

■関連テキスト(羅和対訳)
オッカム『七巻本自由討論集』第2巻第7問題
ドゥンス・スコトゥス『アリストテレス形而上学問題集』第7巻第13問題

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内容説明

オッカムの主著『大論理学』(Summa Logicae)の全訳を世界に先駆けて完成した著者が,オッカムの神学的・哲学的な意図がどこにあり,オッカム哲学の基本構造とは何かを明快に考察する。
オッカムは,若い人が本格的な神学研究をするには,解けない難問や誤謬に陥ったり,真なる論証を詭弁だと思い込むことがないよう,先ず論理学の学習が必要であると考え,神学や哲学を例にして論理規則を示した。
また彼は『大論理学』によって論理学一般を語るのではなく,スコトゥスの共通本性と個体化の理論,そして同時代の学者たちが主張した,量は実体や性質から独立し,実在的に別のものであるという量独立説に対する批判,さらに述語づけの表示態と遂行態についての議論と,存在エッセと本質エッセンチアに関する議論などを繰り返し展開している。
ばらばらのテーマに見えるこれらの議論は,実は〈心の内の言葉と,心の外のものとの区別〉というオッカムの一貫した視点からなされていることを鮮やかに解明することにより,オッカム哲学の真の意義と哲学史上の位置が自ずと明らかになる,画期的な業績である。

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