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中世における科学の基礎づけ

その宗教的,制度的,知的背景

中世における科学の基礎づけ
著者 エドワード・グラント
小林 剛
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
出版年月日 2007/01/25
ISBN 9784862850027
判型・ページ数 A5・384ページ
定価 本体6,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

Ⅰ ローマ帝国とキリスト教最初の6世紀
キリスト教と異教的学問/ヘクサエメロン文献――創世記の創造物語についてのキリスト教徒による註釈/キリスト教とギリシア・ローマ文化/キリスト教最初の6世紀の科学と自然哲学の状況/自由学芸七科

Ⅱ 新しい始まり――12,13世紀の翻訳の時代
12世紀の教育と学問/アラビア語とギリシア語からのラテン語訳/アリストテレス著作の翻訳/アリストテレス自然哲学の普及と吸収/翻訳の受容

Ⅲ 中世の大学
学生と教師/学芸学部の教育/学芸学部のカリキュラム/神学部,医学部という上級学部/大学の社会的・知的役割/中世の写本文化

Ⅳ 中世はアリストテレスから何を受け継いだか
地上界――絶え間ない変化の領域/天上界――不可滅で無変化

Ⅴ アリストテレス的学問の受容,衝撃と教会,神学者の反応
1277年の断罪/中世自然哲学における「仮説的」な二つの意味/神学者―自然哲学者

Ⅵ 中世はアリストテレスの遺産で何をしたか
地上界/天上界/全体としての世界と,その彼方に在るかもしれないもの

Ⅶ 中世の自然哲学,アリストテレス主義者,アリストテレス主義
中世後期の問題集文献/他の文献様式による自然哲学/自然哲学のテーマとしての宇宙/自然哲学とは何か/自然哲学の諸問題/自然哲学の手法,方法論/自然哲学における数学の役割/他の学科における自然哲学の使用/中世自然哲学の特徴/アリストテレス主義者とアリストテレス主義

Ⅷ 中世において近代初期科学の基礎づけはどのようにしてなされたか
科学革命を可能にした背景的前提条件/科学革命を可能にした実質的前提条件/中世科学と近代初期科学の関係について/中世初期科学と中世後期科学の関係について/ギリシア-アラビア-ラテン科学――三文明の勝利

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内容説明

中世の自然哲学は17世紀科学革命にどのように関わったのか。今日,近代科学は独自の起源を有するという見解が通説となっているが,この見方は物理学や宇宙論,科学方法論といった特定の狭い視点から形成されたものである。
それに対して著者はより広い視野でギリシア由来の非宗教的な世俗的知識や学問の長きにわたる営みを考察,中世が果たした役割を見直して,それが近世科学の基礎を築いたことを明らかにする。
12-13世紀にはアリストテレスの自然学に関する膨大な原典や注解書がギリシア語やアラビア語からラテン語に翻訳されが,そのテキストは発展しつつあった大学のカリキュラムで使用され,また書物として流布した。パリ大学やオックスフォード大学などを中心に受容されたアリストテレス自然哲学が,スコラ神学との緊張関係を通して多くの変容を蒙りながら思想界に浸透し,それが新たな科学の基礎となっていく過程を実証的に解明した画期的作品である。

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