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ヴュルテンベルク敬虔主義の人間形成論

F.Ch.エーティンガーの思想世界

ヴュルテンベルク敬虔主義の人間形成論
著者 三輪 貴美枝
ジャンル 教育学
出版年月日 2007/12/15
ISBN 9784862850232
判型・ページ数 菊判・336ページ
定価 本体6,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序章 Bildung概念史研究の課題と方法
 第1節 Bildung概念への史的関心
 第2節 Bildung概念史の系譜的な問題
 第3節 Bildung概念史における敬虔主義
 第4節 資(史)料について

第Ⅰ章 Bildungの概念史モデル
 第1節 Bildung概念の起源
 第2節 教育概念としての実体化過程
 第3節 新たなBildung概念史モデルに向けて

第Ⅱ章 敬虔主義と民衆教育の展開
 第1節 カテキズム教授の成立と展開
 第2節 ヴュルテンベルクの敬虔主義
 第3節 ヴュルテンベルクの民衆教育

第Ⅲ章 F.Ch.エーティンガーの人間形成論
 第1節 エーティンガーの生涯と思想
 第2節 エーティンガーの人間論
 第3節 人間形成原理としての「再生」
 第4節 「再生」と「共通感覚」

第Ⅳ章 F.Ch.エーティンガーの教育論
 第1節 カテキズム教授の特徴
 第2節 カテキズム教授の実際
 第3節 カテキズム教授から道徳的な意志の形成へ

終章 エーティンガーとBildungの概念史

附録1 エーティンガー略年記および18世紀の民衆教育関連年表
附録2 J.R.ヘディンガーの習熟度別学習集団の構想
附録3 18世紀のヴュルテンベルク公国および同領邦教会の役職表

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内容説明

Bildung(人間形成)概念の形成過程を検討し,従来の断片的で非連続的な理解を越えて,統一的で総合的なBildung概念の解明を試みる。
敬虔主義のBildung概念は近代の教育概念や教育論に多大な影響を与えたが,それはエックハルトやベーメの神秘主義における「神の似姿」論を背景に誕生した。しかしプロイセン中心の従来の教育思想史では,敬虔主義は啓蒙主義や新人文主義により克服される対象に止まっており,また敬虔主義に関してもフランケに代表されるハレの敬虔主義が主要な研究対象であり,ヴュルテンベルクの敬虔主義についてはほとんど知られていない。
著者はヴュルテンベルクの神学者で説教師でもあるエーティンガーに焦点をあて,かれの人間形成論をカテキズム論ないしカテキズム教授論へと展開し,それが啓蒙主義を越えて19世紀に繋がることを明らかにし,Bildung概念史に新たな地平を拓いた。
教育現象への技術的対応の限界が露呈しはじめた今日,教育の目的論的議論の要にあるBildung(人間形成)論の考察は教育学の基本文献となろう。

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