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フランス宮廷のイタリア女性

「文化人」クリスティーヌ・ド・ピザン

フランス宮廷のイタリア女性
著者 マリア・ジュゼッピーナ・ムッツァレッリ
伊藤 亜紀
ジャンル 歴史 > ヨーロッパ中世史
出版年月日 2010/06/25
ISBN 9784862850867
判型・ページ数 4-6・280ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

日本語版への序文
序文

Ⅰ あるイタリア女性の物語
Ⅱ 運命と教育,あるいは教育を受ける運命
Ⅲ 恋愛詩と宮廷趣味
Ⅳ 「女性論争」
Ⅴ 先駆者クリスティーヌ
Ⅵ 青衣の婦人(レディ・イン・ブルー)
Ⅶ 写本挿絵(ミニアチュール)という鏡のなかで
Ⅷ 鋤と鏝をつかって
Ⅸ 女子教育
Ⅹ 衣裳と評判
ⅩⅠ 教育のために
ⅩⅡ 戦争と平和
ⅩⅢ 注文人,受取人,そして読者
ⅩⅣ クリスティーヌと同時代人
ⅩⅤ クリスティーヌと後継者
ハッピーエンド

訳者あとがき

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内容説明

クリスティーヌ・ド・ピザン(1365頃-1430頃)は百年戦争,大教会分裂など時代の転換期にペンで身を立てた初の女流作家である。ボローニャ大学で教鞭を執っていた父親がフランス宮廷に招聘され,幼少年期にパリに渡り生涯をフランスで過ごした。彼女は25歳で寡婦になってから,父親の教育により培った教養を糧に,王の伝記を執筆し,恋愛詩や道徳,政治,軍事,教育にわたるさまざまな分野で作家活動しつつ,ほとんどの女性が発言すらできない時代の中で,主要な知識人と渡りあい,王妃と直接向きあい,女性の知性と道義を貶める者に権威をもって異議を唱えた。
従来のクリスティーヌ評価が「女性の名誉と女性の権利との勇敢な弁護人」(ホイジンガ)というフェミニスト的イメージに偏りすぎるとして,著者は写本挿絵中のクリスティーヌの服飾に注目するなど,彼女の多様な活動の全体像に迫った。欧米では彼女への関心が高まっているが,わが国ではほとんど知られず研究もわずかである。本書はピザンへの格好の手引きとなろう。

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