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アルベルトゥス・マグヌスの感覚論

自然学の基礎づけとしての

アルベルトゥス・マグヌスの感覚論
著者 小林 剛
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
出版年月日 2010/11/15
ISBN 9784862850942
判型・ページ数 A5・266ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 論
自然学の根拠としての実体形相/実体形相の原理としての天体/本書の内容と先行研究/アルベルトゥス・マグヌスの生涯と著作

 第一部 外部感覚論

第1章 視覚論
問題設定/形相的存在と質料的存在/アルベルトゥス対アヴェロエス/光・光輝と視覚器官/まとめ

第2章 聴覚論
問題設定/音一般/音声/まとめ

第3章 触覚論
問題設定/アリストテレスとアヴィセンナの立場/アルベルトゥスの立場/共通感覚との類似性/まとめ

 第二部 内部感覚論

第4章 数学と共通感覚について
問題設定/プラトン的算術主義/アリストテレス的自然学主義/アルベルトゥスの反実在論的数学論/アルベルトゥスの共通感覚論/まとめ

第5章 数学と想像力について
問題設定/図形の任意性/投影主義的解釈/まとめ

第6章 表象力,評定力について
問題設定/表象力,評定力の定義/表象力,評定力と「自然」/表象力,評定力と真理/まとめ

第7章 アヴィセンナにおける評定力との比較
問題設定/アルベルトゥスにおける表象力,評定力の起源/アルベルトゥスとアヴィセンナの相異/アルベルトゥスの独自性の核心/まとめ

付論 生命論
問題設定/知性と自然/知性と魂/生命誕生のプロセス/理性的魂の創造/まとめ

補遺 アルベルトゥス・マグヌス『動物論』第16巻第一論考抄訳
第7章/第11章

結 論

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内容説明

トマス・アクィナスの師であるアルベルトゥス・マグヌスは従来,ただの百科全書家で,アリストテレスと新プラトン主義の思想を折衷したにすぎないと低い評価に甘んじてきた。
本書はアルベルトゥスにより自然学の基礎づけと考えられていた限りでの彼の感覚論を考察する。彼によれば,人間知性が学問的知識を感覚への振り返りによって感覚から集めることにより,感覚認識を起源として自然物の実体形相を認識し,自然の定義を含む自然物についての学問的真理を認識できるとして独自の見解を示している。
アリストテレスを基礎に新プラトン主義の影響下,アヴィセンナのアリストテレス註解をも視野に収めつつ,アルベルトゥスが感覚認識を高く評価したことは当時の哲学的文脈のなかでも貴重な貢献であった。
わが国で初めてのアルベルトゥス・マグヌス研究である本書は,原典に即した詳細な分析とあいまって,中世思想のみならず広くヨーロッパ思想を考察する上でも新たな扉を開く画期的業績である。

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