ホーム > 遺伝子技術の進展と人間の未来
内容説明
わが国の生命倫理学はアメリカ流のバイオエシックスの強い影響を受けてきた。著者は,日本固有の社会と文化を踏まえた生命倫理学の必要を痛感し,ヨーロッパの生命倫理の実情調査のために渡独。その時ドイツでは,ES細胞をめぐって国民あげての大激論が戦わされていた。国民的議論にならずにES細胞研究に踏み出したわが国との違いに強いカルチャーショックを受け,その中から本書は誕生した。
着床前診断やES細胞研究で問われるヒト胚の道徳的位置,倫理問題や生命政策についていかに合意を形成するか。人間の尊厳や社会的合意形成など,伝統や文化と向き合った真摯な議論は,アメリカ的な自己決定権重視の生命倫理とは違う大陸系倫理学の特色と言えよう。
ヒトゲノムの解読以降,遺伝子技術の急速な進展の中,遺伝子情報の問題を保険契約や雇用,バイオ・バンクなど多角的に分析,遺伝子情報という概念の限界を示す。さらに遺伝子操作によって能力を増進させる人体改造の試みが,医療の将来と人間の社会基盤に与える影響を検討する。また生命と環境の問題を同一の地平で扱おうとするドイツの生命環境倫理学の動向を紹介,わが国の研究に新たな方向性を示唆した。
着床前診断やES細胞研究で問われるヒト胚の道徳的位置,倫理問題や生命政策についていかに合意を形成するか。人間の尊厳や社会的合意形成など,伝統や文化と向き合った真摯な議論は,アメリカ的な自己決定権重視の生命倫理とは違う大陸系倫理学の特色と言えよう。
ヒトゲノムの解読以降,遺伝子技術の急速な進展の中,遺伝子情報の問題を保険契約や雇用,バイオ・バンクなど多角的に分析,遺伝子情報という概念の限界を示す。さらに遺伝子操作によって能力を増進させる人体改造の試みが,医療の将来と人間の社会基盤に与える影響を検討する。また生命と環境の問題を同一の地平で扱おうとするドイツの生命環境倫理学の動向を紹介,わが国の研究に新たな方向性を示唆した。