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対話とアポリア

ソクラテスの探求の論理

対話とアポリア
著者 田中 伸司
ジャンル 哲学・思想
出版年月日 2006/01/15
ISBN 9784901654647
判型・ページ数 菊判・272ページ
定価 本体4,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 章
第1章 根本からの探求
第2章 アポリアを受けとめるとはどういうことか
――『リュシス』篇における秘められたアポリア
第3章 対話による探求の地平
――『プロタゴラス』篇におけるシモニデスの詩をめぐる議論
第4章 ことばの力
第5章 「何であるか」の問いを語ることばの在りかた
第6章 アポリアの意味

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内容説明

ソクラテスの対話による探求は必ずアポリア(行き詰まり,困難)に陥る。それは対話を通して互いが分かり合ってしまえるような関係ではない。それではアポリアに逢着するソクラテスにおける対話の真の意義とは何であろうか?
著者は「ラケス」「プロタゴラス」「リュシス」「ゴルギアス」「国家」「メノン」篇という六つの対話篇を詳細に分析することにより,その謎に迫る。
ソクラテスの対話が「神からの贈り物」と呼ばれるのはソクラテスを受け止めることにより私たちは己れの知の思いなしとその傲慢さから解放されるからである。ソクラテスの対話は言説の吟味であると同時に対話を行う人自身の吟味でもある。ソクラテスにとってアポリアはたんなる失敗や挫折ではなく,哲学の探求とは「アポリアからの出発」であることが明らかにされる。
従来,一般的には関心の対象になりづらかったアポリアの意味を明らかにすることにより,対話篇全体の構造を見事に描いた本書は,プラトン解読に新たな知見を提供する意欲的作品である。

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