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近世村落社会の家と世帯継承

家族類型の変動と回帰

近世村落社会の家と世帯継承
著者 岡田 あおい
ジャンル 歴史 > 日本史
出版年月日 2006/01/25
ISBN 9784901654654
判型・ページ数 菊判・360ページ
定価 本体6,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序章 本研究の目的
1章 先行研究と本研究の位置づけ
2章 分析方法と史料
3章 歴史人口学的考察
4章 世帯構成とそのサイクル
5章 世帯構成と農民のライフコース
6章 戸主の特徴――二つのパタ-ンの戸主
7章 家督の継承とその戦略――譲渡型戸主の分析
8章 分家の創設――分家創設の戦略と財産の相続
9章 絶家と再興――財産の相続とその戦略
10章 会津山間部の世帯形態と継承戦略の特徴――地域比較と仮説の検証
11章 労働力安定装置としての世帯
終章 結びにかえて

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内容説明

わが国の家族研究には,伝統家族の社会学的研究という貴重な成果がある。家は「世代を超えて直系的に存続し,繁栄する」という特徴をもち,同族団や親族組織の特性と家の制度や構造が解明され,近世農民も「家システムに組み込まれていた」という考えが定説となっている。
本書の狙いは,その通説を検討することにある。著者は伝統家族の社会学的研究と歴史人口学の両者を学際的に駆使し,さらに定常的要件と定位的要件による社会の構造分析の立場から独自の考察を試みる。従来使用された史料は上層社会のものが中心であったが,ここでは上層から下層にいたる全体情報を含んでいる宗門改帳を使い,とくに会津山間部の100年以上にわたる良質で大量の時系列データを活用して,世帯構成のサイクルと家の継承を分析し,近世農民家族の実態を解明する。
結論として,上層農民にあっては従来の説を支持しうるが,中下層では多様な現象が見られ,必ずしも家という理念に規制されず,家システムにも組み込まれていないことが明らかになった。近代の農民家族像が投影される傾向もあった近世農民の家と世帯継承の実相に迫り,家族史や近世史研究に一石を投じる意欲作である。

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