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三十七人の著者 自著を語る

三十七人の著者 自著を語る
著者 渡邊 勲 編集
ジャンル 歴史
出版年月日 2018/04/30
ISBN 9784862852748
判型・ページ数 4-6・458ページ
定価 本体3,300円+税
在庫 在庫あり
 

目次

はしがき

 第一部 一九七〇年代の「仕事」

頭は「中道」,心は「アカ」で書いた 『明治憲法体制の確立』(坂野潤治)
書かなかったことを,書いておこう 『近代的土地所有』(椎名重明)
通史への異議申し立て 『日露戦後政治史の研究』(宮地正人)
若き日の著書とその後の研究成果 『明治期農村織物業の展開』(神立春樹)
思えば,あれが旅の始まりだった 『中世民衆の生活文化』(横井 清)
大企画を完成させた歴史家たち 『大系日本国家史』,『一揆』(峰岸純夫)
転換期の象徴だった二大シリーズ 『大系日本国家史』,『一揆』(深谷克己)
福沢諭吉の「戦争と平和」 『福沢諭吉研究』(ひろたまさき)
大陸文化の「日本化」ということ 『平安前期政治史序説』(佐藤宗諄)
土地占有奴隷制再論 『奴隷制・農奴制の理論』(中村 哲)
中央から地方へ,立ち位置の転換 『中世奥羽の世界』,『百姓申状と起請文の世界』(入間田宣夫)
「エセーニンとマフノ」を思う 『農民革命の世界』(和田春樹)
溜息吐息の止まる間に 『日本中世法史論』(笠松宏至)

 第二部 一九八〇年代の「仕事」

出発点としての「アジア的生産様式論争」 『日本古代国家史研究』(原秀三郎)
現代人の知的関心事であり続ける 『マグナ・カルタの世紀』(城戸 毅)
「かぶれ」から「軽み」の世界へ 『日本宗教文化の構造と祖型』(山折哲雄)
非マルクスから親マルクスへ 『現代インド政治史研究』(中村平治)
主編者として,合宿の功罪を語る 『中国近現代史 上・下巻』(姫田光義)
日本紡績業史研究の到達点 『近代日本綿業と中国』(高村直助)
近世史研究と都市史 『日本近世都市論』(松本四郎)
孤独な闘いの十年,そして今 『フランス帝国主義とアジア』(権上康男)
通説的「冷戦史」の修正 『戦後世界秩序の形成』(油井大三郎)
駒井正一先生と共に苦闘した日々 『中国の自然地理』(阿部治平)
三十年後の自己書評 『ビラの中の革命』(増谷英樹)
今なお生きる三〇年前に作ったテキストたち 『教養の日本史』(竹内誠・木村茂光)
人間の顔をした東欧史 『静かな革命』(南塚信吾)
帝国意識論の原点に立つ 『支配の代償』(木畑洋一)
民衆の体験と「過去の克服」 『草の根のファシズム』(吉見義明)
現代世界の抱える難問にも挑戦 『異郷と故郷』(伊藤定良)
風景のなかから,インディオとともに問いかける 『エル・チチョンの怒り』(清水 透)
奈落における解放の営みに惹かれて 『蘇るパレスチナ』(藤田 進)

 第三部 一九九〇年代の「仕事」

自著の過去と現在 『弥生時代の始まり』(春成秀爾)
「未開と文明」論の模索 『日本古代の国家と都城』(狩野 久)
人は歴史とどう向き合って来たのか 『歴史と人間について』(小谷汪之)
学問的飛躍の準備中だった 『武士と文士の中世史』(五味文彦)
当時の日記帳をひも解いて 『北村透谷』(色川大吉)

「三十七人の著者」と共に編集稼業「五十年」(渡邊 勲)
読者の皆様へ――「あとがき」に代えて

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内容説明

本書は,学術出版界の黄金期とも言うべき1960年代から90年代にかけて東京大学出版会で歴史学関連の編集を中心に活躍してきた渡邊勲氏が,自ら手掛けた37人の著者に現時点で自著をどのように見ているのか,忌憚のない意見や感想を執筆してもらったものです。

執筆のきっかけや問題関心,史料探究の苦心,そして当時の学界状況や政治・社会との緊張関係など執筆を取り巻く多彩な環境の中で,書物は如何に誕生したのか。さらに学界で受容されていく経緯やそれへの応答,そして今日における位置づけなど書物の運命にかかわる多くのエピソードが語られています。

巻末では編集者により,書物の時代背景や具体的な事情が紹介され,書物誕生の姿が伝わってきます。

研究をまとめたい研究者,研究を志そうとする人びと,そして学問に関心をもつ読者にとって書物では知ることのできない発見があるでしょう。

また現場の編集者は,企画や編集の実際の作業,著者とのネットワークの構築など多くのノウハウに触れることができます。電子出版の時代を迎えようとする今,書物の魅力とは何か? 書くことの意味とは何か? 本書は多くの示唆に富む,他に類のない一書です。

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