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受精卵診断と生命政策の合意形成

現代医療の法と倫理(下)

受精卵診断と生命政策の合意形成
著者 ドイツ連邦議会審議会
松田 純 監訳
多田 茂
池田 喬
大河内 泰樹
中野 真紀
ジャンル 哲学・思想 > 生命倫理
出版年月日 2006/11/25
ISBN 9784901654852
判型・ページ数 菊判・336ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

第Ⅰ部 着床前診断

第1章 体外受精と着床前診断
本審議会の審議事項の限定/生殖補助医療/体外受精という治療/臨床における生殖補助医療/希望しても子どもができないという問題の射程とそれの扱い/結論/提言と残された課題
第2章 着床前診断の検討のために参照すべき出生前遺伝子診断に関する経験
本審議会が提言する事項の限定/定義/出生前遺伝子診断の発展/帰結/提言
第3章 着床前診断
状況/議論状況/規制と行動の必要性/法的規制におけるさまざまな選択肢と提言/評価と提言

第Ⅱ部 議論と参加

第1章 民主主義に伴う要求
第2章 提  言

第Ⅲ部 残された課題

第1章 規則を必要とする諸分野
配分(Allokation)/同意能力のない人に対する研究/死の看取り,臨死介助/移植医療
第2章 全体を貫くテーマ
医師―患者関係

第Ⅳ部 倫理的議論をさらに進めるための全般的な提言

審議の仕方と方法/公衆との対話/ドイツならびに外国における倫理をめぐる議論の構造

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内容説明

本書は生命科学から人文・社会諸科学にわたる専門家と議員が,欧米諸国の状況をも視野に入れ,生命倫理に関する立法のための実践的で具体的な観点から徹底的に議論した画期的な答申である。
現代の医療は多くの人々の生命を救っている。しかしその反面,人間らしく尊厳をもって死に行くことの妨げにもなっている。
生きることが苦しみになったとき,多くの医療装置や医師に囲まれてなお生き続けることが強いられる。終末期における生命維持のための措置はどこまで施され,いつ治療を打ち切ることが許されるのか。このような状況のなかで自己の終末期医療に関する事前指示によって,前もって意思表明することの重要性が高まっている。
この問題の背景には,先進諸国が直面している価値の多元化,進行する個人主義,苦と死の排除,そして伝統的家族構成の解体という社会状況があり,それを反映して答申でも多様な意見が展開し,問題の複雑さと困難さが明らかにされる。
わが国でもまだ方向性が見えない事前指示書の問題の重さと深刻さが明らかになる。

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