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人間らしい死と自己決定

終末期における事前指示

人間らしい死と自己決定
著者 ドイツ連邦議会審議会
山本 達 監訳
松田 純
宮島 光志
馬渕 浩二
ジャンル 哲学・思想 > 生命倫理
出版年月日 2006/12/20
ISBN 9784901654876
判型・ページ数 菊判・236ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

日本語版への序文(ヨハネス・ライター)

Ⅰ 序論
1 報告書〈患者による事前指示(Patientenverfugungen)〉に寄せて
2 前もっての指示(Vorausverfugungen)の種類
3 死と〈死に行くこと〉の扱い方
4 論争の展開

Ⅱ 倫理的考察
1 情報を与えられたうえでの自己決定の表出としての患者による事前指示
2 保護(Fursorge)と正義との脈絡での患者による事前指示
3 患者による事前指示の意味と射程についての議論

Ⅲ ドイツでの法的情勢
1 憲法上の基礎
2 民法上の諸原則
3 判決と文献による法的な現況
4 規制の必要
5 臓器移植法と患者による事前指示との関係

Ⅳ 任意に選ばれたヨーロッパ諸国における法的情勢
1 ベルギー
2 デンマーク
3 フランス
4 イギリス
5 オランダ
6 ノルウェー
7 オーストリア
8 ポーランド
9 スウェーデン
10 スイス
11 スペイン

Ⅴ 規制選択肢
1 射程
2 拘束力
3 有効性の諸前提
4 妥当性の継続
5 撤回
6 供託
7 世話人の必要性
8 患者による事前指示を実行に移すこと

Ⅵ 結論と提言
1 患者による事前指示の拘束力
2 患者による事前指示の射程
3 有効性の諸前提
4 患者による事前指示の作成のための付帯的提言
5 患者による事前指示を実行に移すこと
6 後見裁判所の関与
7 提言の実施のための法案
8 将来に備えた全権委任あるいは世話に関する指示との結合
9 連結の禁止
10 患者による事前指示と臓器提供
11 結び注釈

補遺 少数意見

「現代医療の倫理と法」審議会の委員名簿
付録・報告資料(ヨハネス・ライター)

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内容説明

本書は生命科学から人文・社会諸科学にわたる専門家と議員が,欧米諸国の状況をも視野に入れ,生命倫理に関する立法のために,実践的で具体的な観点から徹底的に議論した画期的答申である。
現代の医療は多数の人間の生命を救う。しかしその反面,人間らしく尊厳をもって〈死に行くこと〉の妨げにもなっている。
生きることが苦しみになったとき,多くの医療装置や医師に囲まれて,なお生き続けることが強いられる現状。終末期における生命維持のための措置はどこまで施され,いつ治療を打ち切ることが許されるのか。このような状況のなかで自己の終末期医療に関する事前指示により,前もって意思表示することの重要性が高まっている。
この問題の背景には,先進諸国が直面している価値の多元化,進行する個人主義,苦と死の排除,そして伝統的家族構成の解体という社会状況がある。それを反映して答申でも多様な意見が展開し,問題の複雑さと困難さを示している。
わが国でも未解決な事前指示について,今後の方向性を考える上で豊かな示唆を与えるものとなろう。

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