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講義・経験主義と経験

講義・経験主義と経験
著者 稲垣 良典
ジャンル 哲学・思想
出版年月日 2008/11/15
ISBN 9784862850447
判型・ページ数 菊判・432ページ
定価 本体6,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき
第1章 ウィリアム・ジェイムスの根元的経験論
第2章 ジェイムズの経験概念
第3章 デューイの経験概念――ハビットとしての経験
第4章 パースにおける経験主義と形而上学
第5章 習慣の理論――習慣の形而上学
第6章 ホワイトヘッドと経験の問題
第7章 ロック「経験主義」の再検討
第8章 バークリ哲学における「存在」理解と経験主義
第9章 観念,スペキエス,習慣――イギリス経験論哲学の再評価
第10章 ヒュームの経験主義と因果性理論
第11章 ヒュームの経験主義と人格の同一性理論
第12章 カントの「経験」概念
あとがき

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内容説明

本書はわが国の代表的なトマス研究者である著者の20年にわたる九州大学における講義の再現である。
古代ギリシア以来,経験は哲学的営為のなかで常に何らかの役割を与えられてきた。そのなかで〈経験〉が認識の唯一の源泉であり,真理検証の唯一の原理,最高の規準であるとする「経験主義」は,なぜ近世哲学においてはじめて出現したのか。それは古代・中世と近世・近代の哲学との間で〈経験〉についての理解に根本的な変化が生じたからに他ならない。この変化の実態を考察し,近代哲学の意味を明らかにすることが本書の企図である。
経験を個々の事柄のレベルで理解せずに,経験する主体自身のふり返りを徹底させて,経験の成立根拠を探求したウィリアム・ジェイムズをはじめ,デューイ,パース,ホワイトヘッドなどプラグマティズムの成熟した経験理解を究明し,さらにロック,バークリ,ヒュームら古典的イギリス経験主義を批判的に考察するとともに,「人間的経験の哲学」とも呼ぶべきカント哲学の意義を明らかにする。
ハーバード大学で共にクワイン教授の講義を聴講した黒田亘氏との,経験をめぐる哲学的対話をとおして深まっていった著者の思索が随所に散りばめられ,読者は多くの知的な刺激を味わうに違いない。

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