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現代カトリシズムの公共性

現代カトリシズムの公共性
著者 岩本 潤一 訳著
ジャンル 宗教
出版年月日 2012/08/15
ISBN 9784862851369
判型・ページ数 菊判・240ページ
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに――「現代カトリシズムの公共性」について
第1章 生命倫理と教育――人クローン胚作成の是非をめぐって
1 問題の所在――生命倫理と教育
2 カトリック教会の人の生命の始まりに関する教説
結  び
第2章 ES細胞とiPS細胞――現状と展望
はじめに
1 ヒトES細胞,人クローン胚,体性幹細胞,iPS細胞とその研究状況
2 日本におけるヒトES細胞,人クローン胚,iPS細胞研究に関する指針
結  び
(参考資料 1)「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」(中間報告書)についての意見
(参考資料 2)人クローン胚の作成・利用を容認する総合科学技術会議 生命倫理専門調査会の方針決定に対する見解
(参考資料 3)「特定胚の取扱いに関する指針等の改正案」への意見
第3章 植物状態の患者に対する水分・栄養補給をめぐって
はじめに
1 2007年の教理省文書の歴史的背景
2 植物状態をどう考えるか
3 植物状態の患者への栄養・水分補給の義務をどう考えるか
4 植物状態の患者に対する社会の義務
(参考資料 1)教皇ヨハネ・パウロ二世「生命維持措置と植物状態に関する国際会議」参加者への挨拶
(参考資料 2)世界カトリック医師会/教皇庁立生命アカデミー 共同声明「植物状態をめぐる科学的・倫理的問題の考察」
(参考資料3)教皇庁教理省「全米司教協議会から提出された人工的栄養補給と水分補給に関する問いに対する回答」
(参考資料4)教皇庁教理省「全米司教協議会から提出された人工的栄養補給と水分補給に関する問いに対する回答」の解説
第4章 同性愛とカトリック教会――同性結合と,同性愛の傾向をもつ人の神学校への受け入れをめぐって
1 同性愛とカトリック教会
2 参考資料1について
3 参考資料2について
(参考資料 1)教皇庁教理省『同性愛者間の結合に法的承認を与えようとする提案に関する考察』
(参考資料 2)教皇庁教育省 教書『同性愛の傾向をもつ人の神学校への受け入れと叙階に関する召命の識別基準について』
第5章 ニューエイジとカトリック教会
はじめに――『ニューエイジについてのキリスト教的考察』について
1 ニューエイジとは何か
2 日本にもニューエイジ現象は見られるか
3 カトリック教会の教導職はニューエイジをどのように見てきたか
4 『考察』はニューエイジのどこを問題視しているか
5 日本の教会にもニューエイジは影響を及ぼしているか
6 ニューエイジに直面する教会の司牧的課題はいかなるものか
第6章 裁判員制度とカトリック教会
はじめに
1 日本のカトリック教会の裁判員制度への対応をめぐって
2 信教の自由と政教分離――カトリック教会の視点
(参考資料 1)「裁判員制度」について――信徒の皆様へ
(参考資料2)カトリックの聖職者の裁判員辞退について
第7章 カトリック教会の平和論
はじめに
1 『現代世界憲章』
2 『カトリック教会のカテキズム』
3 『教会の社会教説綱要』
第8章 ヨハネ・パウロ2世の生涯と著作
1 教皇以前
2 教皇としての活動
結  び
第9章 ベネディクト16世の教皇職
1 教皇の課題としての第二バチカン公会議の実施
2 福音宣教
3 エキュメニズムと諸宗教との対話
4 平和のための取り組み

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内容説明

画期的とも言うべき第二ヴァチカン公会議(1962-65)を通して,ローマ・カトリックは過去の問題を誠実に省みるとともに,開かれたヴァチカンとして世界に積極的に関わってきた。教皇ヨハネ・パウロ2世(1978-2005在位)をはじめ現在のベネディクト16世は,公会議の精神を正統に継承して,現代世界の困難な問題に対して発言し,キリスト教世界を越えて多くの人々に希望を与えてきた。
ヴァチカンは非信仰者を含めた世界的な科学者や神学者を会員とするアカデミーの活動を通して,現代の最先端の自然科学や社会科学に関わる情報や知見を収集し,神学的・哲学的考察をしてきた。その活動を踏まえてカトリシズムの世界では,近年目覚ましい知の蓄積・深化・発信が行われ,公共的言説によって世界の諸課題に対し積極的に貢献しようと多くの提言がなされている。それらは単なる宗教的言説を越えて普遍性と公共性を合わせもち,世界的公共財とも言いうるものである。しかしながら,わが国においては一般社会のみならず日本のカトリック教会においてさえも十分に理解されているとは言い難い。
本書は新しい宗教的潮流であるニューエイジやヒト胚の生命倫理,同性愛の法的問題や平和論など私たちの社会が直面する課題を選び,学界をはじめ広く社会に紹介することを意図した。ヴァチカンから発信される提言を偏見なく検討することにより,われわれの社会にとって豊かな智慧と示唆が見出せよう。世界がグローバル化するなかで,これらの言説がもつ意味はいよいよ重くなるに違いない。

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