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哲学と神学のハルモニア

エックハルト神学が目指したもの

哲学と神学のハルモニア
著者 山崎 達也
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
出版年月日 2013/02/15
ISBN 9784862851475
判型・ページ数 菊判・368ページ
定価 本体6,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序論 エックハルト研究に対する基本姿勢
第1章 ディートリヒにおける思弁神学の主題と知性論
はじめに
1 予備的考察:ドミニコ会における神学解釈
2 ディートリヒにおける神学の主題と知性論
おわりに
第2章 エックハルト神学の基本的性格
はじめに
1 生と死の判断基準
2 生成としての信仰
3 モーセとキリストとの関係における比例性
4 受肉の位置づけ
5 自然学,形而上学そして福音としての神学
6 神の固有性としての超範疇的概念
7 人間の完成と至福
おわりに
第3章 倫理的原理としてのアナロギア
はじめに
1 アナロギアの聖書神学的基礎づけ
2 超範疇的アナロギアの哲学的解釈
3 キリスト論的深化
第4章 命題「神は知性認識なり」における神学的意味とその哲学的背景
はじめに
1 知性あるいは知性認識としての神
2 一なる神
おわりに
第5章 神の存在と創造
はじめに
1 存在産出の三段階
2 『創世記』冒頭における始原の問題
3 創造の始原としての神的存在
第6章 受肉と人間本性
はじめに
1 肉と人間本性
2 受肉の形而上学的解釈
3 最高の恩寵としての受肉
第7章 出生の神学的意味
はじめに
1 予備的考察:トマスによる出生の定義
2 出生における超越性と永遠性
第8章 スペキエスの実現とその始原
はじめに
1 像が有する九つの性格
2 関係概念
3 人間知性における認識構造のメカニズム
4 神のスペキエス
第9章 何故なしの生
はじめに
1 生の本質的規定
2 生に関する聖書神学的基礎づけ
3 精神の最内奧
4 恩寵と本来的生死
5 本来の自己への還帰

一応のまとめ,そして今後の展望

あとがき

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内容説明

すべての存在者を統一する秩序としてのロゴスは,世界を認識し,記述する原理であり,存在と認識に関わる。また『ヨハネ福音書』は,ロゴスを世界の創造原理であるとともに,肉をとりわれわれ人間を至福に導く救済の原理とし,創造と救済の意味を示した。これら哲学と神学の領域にまたがるロゴスの語りを,エックハルトは神学と哲学との一致というモティーフに導かれて考察した。
エックハルトは,神の固有性は四つの超範疇的概念である〈存在〉・〈一〉・〈真〉・〈善〉であるとして神的存在の分析を展開した。彼は一を父,真を子,善を聖霊と神学的に定義し,〈存在〉は一に限定されることにより,存在として言語化され,さらに一が真を生み,両者から善が発出するという関係から,一は出生と創造を生み出す神的生命としての〈存在〉を限定していると理解され,ここにエックハルトの第一命題「存在は神である」が形成される。
著者はラテン語著作とドイツ語説教を駆使して,この第一命題を基盤に,エックハルト思想を〈神学〉として捉え,アナロギア論も含めて思想全体の体系化に挑んだ。
エックハルト知性論の史的分析,彼のtranscendentiaの構造の解明,人間が神に接近する救済論的問題へのアナロギア論の有効性,多くの議論を呼んだ命題「神は知性認識なり」の真意,最高の恩寵としての受肉と人間本性,生むものと生まれるものとの差異性と同一性,スペキエス論と認識論,最後に「神の根底は私の根底,私の根底は神の根底」を「何故なしの生」として明らかにする。

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