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習慣の教育学

思想・歴史・実践

習慣の教育学
著者 菱刈 晃夫
ジャンル 教育学
出版年月日 2013/12/30
ISBN 9784862851703
判型・ページ数 菊判・272ページ
定価 本体3,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに

Ⅰ 習慣と教育
1 習慣について
2 人間と習慣
3 習慣と教育
4 歴史と社会のなかの習慣と教育
Ⅱ 古代における習慣と教育――「人間性」の誕生
1 プラトン
2 アリストテレス
3 キケロー
4 クインティリアヌス
Ⅲ 中世における習慣と教育――修道院の規律と訓練そして大学
1 アウグスティヌス
2 カッシオドルス
3 サン= ヴィクトルのフーゴー
4 トマス・アクィナス
Ⅳ 初期近代における習慣と教育――「文明化」に向けて
1 エラスムス
2 ルター
3 メランヒトン
4 ベーコン
Ⅴ 近代における習慣と教育――教育の体系化へ向けて
1 コメニウス
2 ロック
3 コンディヤック
4 ルソーとカント
Ⅵ 近世および近代の日本における習慣と教育――失ったもの/手に入れたもの
1 手習塾と貝原益軒
2 近代学校
3 現代の学校
4 リキッド・モダニティの習慣と教育

おわりに

あとがき/索引

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内容説明

人は「習慣的世界」に適応することから人生を始め,生涯にわたって習慣と関わりながら生きていきます。習慣は時として人を拘束し,時として高めてくれます。それは理性により吟味される必要があります。
古代ギリシア・ローマ以来,人間教育は「生まれつき・本性」と「習慣・習慣づけ」そして「理・教え」を中心に営まれてきました。アリストテレスは人間の卓越性(徳)には頭の良さとしての「知性的卓越性」と人柄の良さとしての「倫理的卓越性」があり,それぞれ「教え」と「習慣づけ」により陶冶されると言います。そこには理想的な人間像が含意されていますが,今日ではあるべき人間や教育の像が混迷しています。本書は習慣と教育という観点から,現代の教育のなかに新たな可能性を追求する試みです。
西洋の教育思想では,理であるロゴスとしてのイデアや神の存在が教育の根本原理として機能していました。しかし理性が道具的なテクノロジーとなり,普遍的な存在と切り離されイデアも神も失われます。情報化・消費化資本主義が跋扈するなか,多くの青年たちは怪しげなスピリチュアリズムや「金儲け」の虜となっています。
生まれつきの才能をどう引き出し,活かすのか。第二の天性である習慣がもつ悪弊を理性はどのように抑制するのか。習慣は青少年期だけでなく生涯にわたっており,それと如何に関わるのか。これら習慣についての思想的・歴史的・実践的な多くの知見は読者に知的刺激を与えるでしょう。

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