ホーム > トマス・アクィナスの心身問題

トマス・アクィナスの心身問題

『対異教徒大全』第2巻より

トマス・アクィナスの心身問題
著者 トマス・アクィナス
川添 信介
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
シリーズ ラテン語対訳
出版年月日 2009/07/25
ISBN 9784862850638
判型・ページ数 菊判・456ページ
定価 本体7,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

第56章 知性的実体はどのような仕方で身体と合一し得るのか
第57章 知性的実体の身体への合一についてのプラトンの立場
第58章 人間において栄養摂取的魂、感覚的魂、知性的魂という3つの魂が存在するのではないこと
第59章 人間の可能知性は離存実体ではないこと
第60章 人間がその種を得るのは受動知性ではなく可能知性を通じてであること
第61章 前述の立場はアリストテレスの主張に反していること
第62章 可能知性に関するアレクサンドロスの意見への反論
第63章 ガレノスが主張したのとはちがって,魂は体質ではないこと
第64章 魂は調和ではないこと
第65章 魂は身体ではないこと
第66章 知性と感覚は同じであると主張する人々への反論
第67章 可能知性を想像力だと主張する人々への反論
第68章 知性的実体が身体の形相であり得るのはどのようにしてなのか
第69章 知性的実体は身体に形相として合一し得ないことを証明するとする上述の諸反論の解消
第70章 アリストテレスの言葉にしたがえば,知性が形相として身体と合一していると主張すべきこと
第71章 魂は身体に直接に合一していること
第72章 魂の全体が身体の全体にあり,また全体が身体のどの部分にもあること
第73章 可能知性はすべての人間において一つではないこと
第74章 可知的形相は可能知性のうちに保存されないとするアヴィセンナの見解について
第75章 可能知性の一性を証明すると思われる諸論拠の解消
第76章 能動知性は離存実体ではなく魂に属する何かであること
第77章 可能知性と能動知性が魂の一つの実体において合致することが不可能でないこと
第78章 能動知性は離存実体ではなく魂に属する何かであるというのがアリストテレスの見解であったこと
第79章 身体が消滅しても人間の魂は消滅しないこと
第80-81章 身体が消滅すると魂も消滅することを証明する諸論拠(およびその解消)
第82章 非理性的動物の魂は不死ではないこと
第83章 人間の魂は身体と同時に始まったこと
第84章 前章の諸論拠の解消
第85章 魂は神の実体の一部ではないこと
第86章 人間の魂は精子とともに伝えられるのではないこと
第87章 人間の魂は神によって創造を通じて存在へと産出されるということ
第88章 人間の魂は精子を原因とすると証明する諸論拠
第89章 前章の諸論拠の解消
第90章 知性的実体は人間の身体以外の物体に形相として合一しないこと

このページのトップへ

内容説明

『神学大全』に対しもう一つのスンマと言われる中期の代表作『対異教徒大全』の第2巻56章から90章のラテン語対訳である。
本書で扱われているのは「人間存在についての基礎論」ともいうべきもので,知性的被造物としての非質料的で非物体的であるはずの人間の魂が「どのような仕方で身体と合一するのか」が主題となり,心身合一である人間が問われるとともに身体と合一しない純粋な知性的存在者(天使)に固有なあり方が論じられる。トマスが人間の身体より「知性的側面」に重点を置いているのは,イスラームの思想家アヴィセンナやアヴェロエスの「知性論」との知的対決を目指していたものと思われる。
本書はこれらの思想史的背景を踏まえて,トマスの人間への眼差しを明らかにする。適切な註解と平易な訳文を心がけると共に本格的な解説を付す。トマス人間論への格好の導きとなろう。

このページのトップへ