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スコラ学の方法と歴史 上

教父時代から12世紀初めまで

スコラ学の方法と歴史 上
著者 マルティン・グラープマン
保井 亮人
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
シリーズ 知泉学術叢書
出版年月日 2021/04/30
ISBN 9784862853356
判型・ページ数 新書・576ページ
定価 本体5,400円+税
在庫 在庫あり
 

目次

凡例
はじめに

第1部 序文
 第1章 スコラ学の方法に関する現代の評価
 第2章 スコラ学の方法の定義
 第3章 資料の問題

第2部 教父におけるスコラ学の方法の始まり
 第1章 全般的序文,キリスト教と知性主義,ギリシャ哲学に対する教父の根本的態度,「プラトン主義」と教父
 第2章 ギリシャ教父におけるスコラ学の方法の始まり
  第1節 啓示内容を,ギリシャ哲学,特にプラトン哲学の助けを借りて思弁的に考察し,体系化する試みの先駆け
  第2節 ギリシャ教父と東方教父のアリストテレス主義,末期ギリシャ教父のスコラ学
 第3章 ラテン教父とスコラ学の方法
  第1節 アウグスティヌス以前のラテン教父
  第2節 スコラ学の方法の模範としてのアウグスティヌス
  第3節 アウグスティヌス以後のラテン教父,最初の命題集

第3部 ボエティウス――最後のローマ人にして最初のスコラ学者
 第1章 中世ヨーロッパにアリストテレス主義を伝えたボエティウス
 第2章 『哲学の慰め』と中世
 第3章 ボエティウスの神学的小著におけるスコラ学の方法

第4部 教父やボエティウスに見られたようなスコラ学の方法の始まりは,スコラ学以前の時代にどのように受け継がれ発展したのか
 第1章 カロリング時代とそれに続く時代の学問方法
  第1節 初期中世の学問的特徴,伝統主義あるいは権威,ラテン教父の詞華集の重要性,論理学あるいは理性
  第2節 11世紀初頭までのスコラ学の方法の代表者,エリウゲナはスコラ学の父か
 第2章 スコラ学前夜,11世紀の神学方法の展開
  第1節 権威と理性――論理学者と反論理学者の対立とベレンガリウスの聖餐論争における
  第2節 ランフランクスにおける権威と理性の調和,ペトルス・ダミアニ
  第3節 コンスタンツのベルノルドゥスにおけるアベラルドゥスの「然りと否」の方法,シャルトルのイヴォがスコラ学の方法の発展に与えた影響
  第4節 ラドゥルフス・アルデンスの『世界の鑑』,11世紀末に書かれ写本の形で伝わっている神学の大全

第5部 スコラ学の父カンタベリーのアンセルムス
 第1章 アンセルムスの学問的独自性
 第2章 アンセルムスの学問方法の分析
  第1節 アンセルムスの学問的著作における権威の重要性
  第2節 アンセルムスの方法における理性の役割
   A 信仰内容の合理的理解,アンセルムスの研究方針「理解するために信じる」
   B 理性が持つ体系化の役割
   C 異論を解消したり表面上の矛盾を調停する理性の役割

学の系統図

要約と著者紹介
 要約
 著者紹介
  1 生涯
  2 著作

訳者あとがき
文献表
索引(人名・事項・写本)

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内容説明

マルティン・グラープマン(1875-1949)は,中世思想の真の理解にはスコラ学の方法を知ることが重要であるとして,生涯にわたり膨大な一次史料の写本を渉猟し,その研究と紹介に努めてきた。本書はその成果を集大成した古典的名著の待望の翻訳である。
本書では教父から12世紀初めのアンセルムスまでを扱う。ギリシア教父とギリシア哲学との関連をはじめラテン教父の展開,そして最初のスコラ学者ボエティウスの貢献,さらにカロリング時代の初期中世には論理学の隆盛に伴うスコラ学の発展が考察され,最後にスコラ学の父といわれたカンタベリーのアンセルムスの固有性と学問の方法を詳細に分析し,スコラ学の基本構造が明らかにされる。
読者はヨーロッパの神学はもとより,哲学や思想など知性の歴史を考えるとき,スコラ学が築いてきた方法と歴史の意義を,本書によって知ることになろう。ヨーロッパ近代により主導された現代の歴史的状況を考えるためにも,スコラ学の開発した知性の方法が普遍的な意義をもっており,それは近代思想にも大きな影響を与えている。
わが国の哲学研究はヨーロッパの神学に対して距離を置くが,ヨーロッパの内在的理解のために,今後は神学と哲学の強い緊張の磁場を知ることがますます重要となろう。

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