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東方教会の精髄 人間の神化論攷

聖なるヘシュカストたちのための弁護

東方教会の精髄 人間の神化論攷
著者 G.パラマス
大森 正樹
ジャンル 宗教
シリーズ 知泉学術叢書
出版年月日 2018/05/20
ISBN 9784862852755
判型・ページ数 新書・576ページ
定価 本体6,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

 凡例
 はしがき

  第 I 部

第1論攷
 第1問
  〔序文〕
 第1回答
  1 言葉では何も証明できない
  2 真の知恵は世俗のそれではない
  3 罪の力
  4 異郷の教育とキリスト教的生活
  5 愚かにされた知恵
  6 世俗の学問研究の善用と悪用について
  7 真の教育
  8 聖バシレイオスの後悔
  9 ギリシアの知恵と神の恵み
  10 哲学者の「汝自身を知れ」
  11 蛇毒の有効性
  12 光と闇
  13 律法と恵み
  14 愚かしさに屈した哲学
  15 哲学者は物狂いである
  16 真の知恵と誤った知恵
  17 神の知恵
  18 哲学者の無分別
  19 存在するものはそれ自体として悪ではない
  20 蛇毒のたとえ
  21 異郷の知恵の困難さ
  22 キリスト,われわれの唯一の哲学
  23 教父による証言

第2論攷
 第2問 
  〔序文〕
 第2回答
  1 身体はそれ自体としては悪ではない
  2 土の器の中の宝物
  3 知性は心の中に住まう
  4 知性を自ら自身へ再度送ること
  5 知性の循環運動
  6 身体の中で非物質的なものをいかにして包みこむか
  7 入門者のための霊的方法
  8 この方法の目的
  9 肉体は変容されうる
  10 祈りの姿
  11 「腹に魂をもつ者」という中傷
  12 ヘシュカスムの真の伝統

第3論攷
  〔序文〕
 第3回答
  1 嘘偽りは真実に近づく
  2 告発者らの欺瞞
  3 覚知と霊的な光
  4 否定を超える見神
  5 霊的照明
  6 聖人と聖書による証言
  7 他の証言
  8 思惟的な光
  9 知性の眼
  10 光と火
  11 キリスト到来の理由
  12 この世の命だけに生きる人は霊からのものを受け取らない
  13 いかなる言葉が生命に反対しうるだろうか
  14 世俗の認識が救いに導くわけではない
  15 理性的な像の歪曲
  16 見えないものをいかにして見るか
  17 見ずして見る
  18 肯定と否定。分有について
  19 否定神学は一つの像にすぎない
  20 霊的で神的な感覚
  21 霊によって見る
  22 聖ベネディクトゥスの見神
  23 神を超えるもの
  24 ホレブ山上のエリア
  25 予表
  26 再臨の序奏
  27 神的な光は感覚的ではない
  28 造られざる光は存在するものに勝る
  29 その他の議論
  30 聖ステファノの見神
  31 身体もまた恵みを受ける
  32 霊的な悦び
  33 身体の変容
  34 神を経験すること
  35 来たるべき世の光
  36 霊的な身体
  37 終末的神化
  38 キリストの身体の光
  39 真実の経験
  40 真の光
  41 心に刻まれた法
  42 存在するものについての認識と神秘的見神
  43 光の終末的性格
  44 一致への途
  45 知性に固有の能力
  46 ヘーシュキアの途
  47 神の寛大さ
  48 真の見神と偽りのそれ
  49 確かな歩み
  50 修徳の度合い
  51 芥子種のたとえ
  52 幸いな者であるためには知ることは十分ではない

 第 II 部

第1論攷
  1 バルラアムと修道士
  2 バルラアムの著作
  3 本書第Ⅱ部の由来
  4 バルラアムの出発点
  5 真理の二つの側面
  6 異郷の学問のもつ問題
  7 聖霊の知恵
  8 真の哲学者
  9 二つの思考方法
  10 方向づけ
  11 聖書を読みとる方法
  12 自然と恵み
  13 霊的な知恵と悪霊的な知恵
  14 論争の火つけ役,バルラアム
  15 エジプト人とカルデア人の知恵の限界
  16 アタナシオス,バシレイオス,ニュッサのグレゴリオスの例
  17 バルラアムの誤り
  18 バベルの塔
  19 知者であることの対立する二つのあり方
  20 悪しき知恵
  21 ギリシア人の哲学
  22 新しいプラトン主義
  23 哲学の行き着くところ
  24 知恵の愚かしさは比較によるのではない
  25 霊的恵みと自然の賜物
  26 エジプト人たちは恵みを有しているか
  27 われわれが非難するのは濫用である
  28 霊はすべてを究める
  29 信仰,経験,愛
  30 絶えざる祈り
  31 祈りの賜物
  32 ナジアンゾスの聖グレゴリオスの証言
  33 修道士と世俗の学問
  34 修道の真の目的
  35 福音と修道生活
  36 バルラアムの誤り
  37 バルラアムからの引用
  38 主要な命令
  39 バルラアムはディオニュシオスに反対のことを言っている
  40 バルラアムの精神は病んでいる
  41 いかにして真理に達するか
  42 解決
  43 真の知恵はキリストにあり
  44 聖バシレイオスの証言

第2論攷
 祈りについて
  1 祈りに対立する肉の知恵
  2 ニケフォロス,ヘシュカスムの師
  3 バルラアムとヘシュカスムの伝統
  4 感覚と祈り
  5 すべての感覚が捨てられるわけではない
  6 身体的苦痛は祈りに導く
  7 身体的感覚は祈りに結びつく
  8 神との一致
  9 霊から生まれた者は霊である
  10 魂と身体のよろこび
  11 神の賜物
  12 身体の神化
  13 身体は恵みの伝達に与る
  14 祈りは身体からの離脱ではない
  15 バルラアムによる誤ったディオニュシオス解釈
  16 バルラアムは祈りを廃止する
  17 涙の洗礼
  18 魂と身体に共通の働き
  19 不受動心とは何か
  20 救いに資する力
  21 情念なき情念
  22 悪しき情念のみが死すべきである
  23 神の情念
  24 われわれの決意
  25 ニケフォロスに対するバルラアムの批判
  26 バルラアムの浅慮さ
  27 ニュッサのグレゴリオスとマカリオスの間に対立があるか
  28 ニュッサのグレゴリオスの人間学
  29 教父相互間の一致
  30 どのような点について教父たちに従うべきか

第3論攷
 聖なる光について
  1 盲人が盲人を導く
  2 一連の盲人たち
  3 バルラアムは教父たちに反対している
  4 あまねく知られた一神教
  5 感覚を超えた神
  6 讒言の最たるもの
  7 矛盾している非難
  8 「神以上のもの」
  9 多くの名で語られる賜物
  10 光は天使ではない
  11 光は「霊の本質」ではない
  12 神の本質でもない
  13 バルラアムの手法
  14 バルラアムと修道院霊性
  15 栄光について
  16 いかにして栄光を見るのか
  17 認識と神化
  18 ペトロの証言
  19 二つの太陽
  20 神の光は象徴ではない
  21 教父の証言
  22 聖マクシモスの証言
  23 ディオニュシオスの証言
  24 見えないものを見ること
  25 見えざる仕方で見える光
  26 神の本質を見ることができるか
  27 霊において見ること
  28 天使と神の光
  29 天使のヒエラルキーは受肉によって覆される
  30 天使の役割
  31 見えざるものを見ること
  32 超越のあり方
  33 一致に関する名称
  34 バルラアムとその存在の哲学
  35 否定神学と神秘的合一
  36 光。見神の器官と対象
  37 天使や人間を越える見神
  38 神の存在証明としての見神
  39 来たるべき世の善
  40 信仰
  41 信仰の終末的成就
  42 超自然的能力である信仰
  43 信仰と認識
  44 世界の認識は神へと導く
  45 新しい天と地
  46 われわれの唯一の師なるキリスト
  47 あらゆる名を超えるもの
  48 知性を超えるものは知性作用の一種ではない
  49 否定神学は一つの言説にすぎない
  50 バルラアムはディオニュシオスを悪用する
  51 ディオニュシオスにおける光と闇
  52 神を通して神を見る
  53 否定神学では不十分であること
  54 モーセの見神
  55 見えないものがいかにして見えるか
  56 神を見ること
  57 神は把握しえないということの経験
  58 見神は知性作用より劣るか
  59 二つの想像
  60 天上の能力は想像的なものではない
  61 天使の見神
  62 霊の形成
  63 見神は認識に勝る
  64 神は存在しているものに基づいては認識されない
  65 否定神学の二つの概念
  66 造られざる光
  67 神は被造物についての認識から知られるのか
  68 神において神を知る
  69 ディオニュシオスの意図
  70 象徴から実在へ
  71 稚拙な神学
  72 観想される可感的世界
  73 ディオニュシオスの真の教え
  74 ディオニュシオスによる「ヒエラルキア」の目的
  75 真の認識と誤った認識
  76 世俗の知恵でキリストがつかめるか
  77 他の者を矯正するのはバルラアムではない
  78 最終的解明

 第 III 部

第1論攷
  1 傲慢さ
  2 真理を守る義務
  3 バルラアムの考えは「フィリオクエ」に至る
  4 バルラアムのイタリアでの使命
  5 バルラアムは正教徒か
  6 バルラアムは恵みを拒否する
  7 『ブラケルノス』の場合
  8 霊の恵み
  9 「ヒュポスタシスのうちにある」とはどういうことか
  10 キリストの神としての栄光
  11 この光は象徴ではない
  12 タボル山の光について
  13 マクシモスの象徴神学
  14 象徴の異なった種類
  15 永遠の光
  16 キリストは今日もまた輝く
  17 キリストに固有の光
  18 「ヒュポスタシスのうちにある」等の意味について
  19 御子の神性の自然的象徴
  20 自然的象徴
  21 神性と認識
  22 見ることと見ないこと
  23 本質について
  24 われわれは二神論者ではない
  25 バルラアムのディオニュシオス理解の問題点
  26 神化は自然的な働きではない
  27 自然と超自然
  28 養子縁組
  29 神性の源を超える神
  30 神化は自然的賜物ではない
  31 神化,神のエネルゲイア
  32 神化は名を超える
  33 霊の働き
  34 神化は至るところにある
  35 知覚を超える知覚
  36 知性作用を超える知性作用
  37 自然はどれほど霊から遠いことか
  38 光を通して与えられた知恵
  39 真実の光の父
  40 神の火
  41 次の論攷に向けて

第2論攷
  1 偉大なマカリオスの教え
  2 再びマカリオス
  3 メッサリア主義という中傷
  4 異端の真の源泉
  5 本質と本質の特質
  6 神の業について
  7 非創造のエネルゲイアと神の諸々の名
  8 エネルゲイアは始めと終わりをもつ
  9 教父による証言
  10 エネルゲイアに由来する名称
  11 造られざるエネルゲイア
  12 「私は在るものである」
  13 神の輝きに与ること
  14 霊的な光
  15 見神は天使にとっても常に恵みである
  16 悪霊に欠けるもの
  17 それは認識の問題ではない
  18 バルラアムの誤りの原因
  19 バルラアムは多神論者である
  20 力は永遠であること
  21 バルラアムによればパラマスは多神論者である
  22 神とエネルゲイア
  23 諸存在の存在性とは何か
  24 神と世界の間。存在性
  25 与りえざるものにいかに与るか
  26 超本質的原因は一つではない
  27 神の像,地上の王

第3論攷
  1 本当の異端
  2 預言者たちに対する冒瀆
  3 彼は経験もなく話している
  4 彼はニュッサのグレゴリオスを他の教父たちに対立させる
  5 神と人間
  6 本質と区別されるエネルゲイア
  7 二つの本性と二つの働き
  8 神化された人間は本性上の神ではない
  9 身体の眼は神の栄光を見る
  10 曲解
  11 神は可視的なものに似ているか
  12 神はただ一つの知性にのみ示されるか
  13 マクシモスによる神化
  14 神の絶対的超越性
  15 愛も情念の一つである
  16 すべての異端の結論

解説
あとがき
参考文献
引用教父索引・事項索引・聖書箇所

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内容説明

ビザンティン後期に多くの論争を経て,東方キリスト教霊性の精華であるヘシュカスム(祈りの方法やその意味など)の霊性運動を理論的に大成したグレゴリオス・パラマス(1296頃-1359年)の主著『聖なるヘシュカストたちのための弁護』の全訳である。彼は若い時にアトス山で修行し,晩年テサロニケの大主教を務め,没後に列聖された。

ビザンティン宮廷に重用されたバルラアムは「アトス山の修道士たちが祈りの中で神を見る」ことを聞き,祈りを励む者たちを異端の廉で告訴した。これに対しパラマスが正面から批判し修道士たちを弁護,論争はビザンティン宮廷を巻き込み,聖俗あわせた争いに発展した。最終的にはパラマスの論がビザンティン教会の正統とされ,バルラアムは排斥されてイタリアに帰りローマ教会の司教になった。

西方教会とは違い,観想など実践を重んずる東方教会の独自性が本書により解明される。教父たちがキリスト教の地盤でギリシアの知的業績を考察し直した躍動的な思想は,キリスト教の精神伝統の生の姿を髣髴とさせてくれる。

わが国の西欧中心の見方に対し,欧州の辺境の地で営まれた知的,霊的精進の宝庫に新たな可能性が見出されよう。

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