ホーム > 東方キリスト教思想への誘い
目次
序にかえて
Ⅰ 旅の手帖から
第一章 カラーブリアの夕べ
第一節 ある日曜日の昼下がり
第二節 カラーブリアのバルラアム
第三節 ポドスカルスキーの見解
第四節 ジェラーチェ探訪
第二章 地中海の精神風光
第一節 地中海へ
第二節 地中海との出会い
第三節 エンペドクレスのサンダル
第四節 パルメニデスの呪縛
第五節 パレルモの街角で
第三章 東西キリスト教の狭間での思索
第一節 ローマ
1 東方教会研究所(オリエンターレ)へ
2 正統と異端
3 フィリオクエ問題
4 東方典礼カトリック教会とラテン化の問題
5 悲劇の枢機卿,ヨシフ・スリピー
第二節 ヴェネツィア
1 ヴェネツィア散歩
2 ヨシフ・ブロツキーのこと
3 “Flight from Byzantium”
4 多神教と一神教
5 ローマの自立
6 ブロツキーの矛先
第三節 ラヴェンナ
1 ラヴェンナの教会
2 ダンテの墓
3 子供にとっての『神曲』
第四節 シェヴトーニュ修道院
1 エキュメニズムのための修道院
2 東方典礼を味わう
第五節 ブルゴーニュ
1 ブルゴーニュの春
2 ロシア系女子修道院
3 デジョン近郊のカルメル会修道院
第六節 パリ
1 パリにおける東方教会の姿
2 パリのメルキト教会
第七節 そしてロシアへ
1 黄葉のロシア
2 「理知もて臨まず」
3 サンクトペテルブルクとドストエフスキー
4 クロンシュタットのイォアーン
5 黄金の環
6 ボリス・ゴドゥノフ
7 ロシア雑感
Ⅱ 人間の神化論考
第一章 偽ディオニュシオスにおける「人間の神化」
序
第一節 偽ディオニュシオスにおける用語「神化」の用例
1 『神名論』の場合
2 『天上位階論』の場合
3 『教会位階論』の場合
第二節 神化と観想
第三節 ディオニュシオスの目指す神化
第二章 ヘシュカスム論争の一断面――「神化」をめぐる問題
第一節 問題の所在
第二節 パラマスが依拠するディオニュシオス,マクシモスの言葉
第三節 両者の見解の相違
第四節 パラマスの神化理論
第五節 「エンヒュポスタトン」について
第六節 結論的考察
第三章 「人間の神化」は語り得るものか?
はじめに
第一節 問題へのアプローチ
第二節 (I)について
第三節 (Ⅱ)について
第四節 われわれにとっての課題
Ⅲ 講演 ビザンツ的綜合の精神――グレゴリオス・パラマスに見る伝統の「継承」と「改新」
はじめに
第一章 ビザンツの思想状況
第一節 図『キリスト教思想の成立』を見て
第二節 ビザンツにおける神学と哲学の微妙な関係
第三節 霊性の世界
第四節 「異郷の哲学」に基づいた人々
第五節 九―十五世紀のビザンツ哲学興隆
第二章 パラマス的綜合
第一節 パラマスを取り巻く状況
第二節 パラマスにとっての権威
第三節 パラマスの基本的考え
第三章 パラマス的綜合の例
第一節 偽ディオニュシオスに基づいて
第二節 『スコリア』に基づいて
第三節 パラマスのテーゼの再確認
第四章 最大の損失とビザンツの遺産
終章 現代的視点からの提言
あとがき
初出一覧
参考文献
索引
Ⅰ 旅の手帖から
第一章 カラーブリアの夕べ
第一節 ある日曜日の昼下がり
第二節 カラーブリアのバルラアム
第三節 ポドスカルスキーの見解
第四節 ジェラーチェ探訪
第二章 地中海の精神風光
第一節 地中海へ
第二節 地中海との出会い
第三節 エンペドクレスのサンダル
第四節 パルメニデスの呪縛
第五節 パレルモの街角で
第三章 東西キリスト教の狭間での思索
第一節 ローマ
1 東方教会研究所(オリエンターレ)へ
2 正統と異端
3 フィリオクエ問題
4 東方典礼カトリック教会とラテン化の問題
5 悲劇の枢機卿,ヨシフ・スリピー
第二節 ヴェネツィア
1 ヴェネツィア散歩
2 ヨシフ・ブロツキーのこと
3 “Flight from Byzantium”
4 多神教と一神教
5 ローマの自立
6 ブロツキーの矛先
第三節 ラヴェンナ
1 ラヴェンナの教会
2 ダンテの墓
3 子供にとっての『神曲』
第四節 シェヴトーニュ修道院
1 エキュメニズムのための修道院
2 東方典礼を味わう
第五節 ブルゴーニュ
1 ブルゴーニュの春
2 ロシア系女子修道院
3 デジョン近郊のカルメル会修道院
第六節 パリ
1 パリにおける東方教会の姿
2 パリのメルキト教会
第七節 そしてロシアへ
1 黄葉のロシア
2 「理知もて臨まず」
3 サンクトペテルブルクとドストエフスキー
4 クロンシュタットのイォアーン
5 黄金の環
6 ボリス・ゴドゥノフ
7 ロシア雑感
Ⅱ 人間の神化論考
第一章 偽ディオニュシオスにおける「人間の神化」
序
第一節 偽ディオニュシオスにおける用語「神化」の用例
1 『神名論』の場合
2 『天上位階論』の場合
3 『教会位階論』の場合
第二節 神化と観想
第三節 ディオニュシオスの目指す神化
第二章 ヘシュカスム論争の一断面――「神化」をめぐる問題
第一節 問題の所在
第二節 パラマスが依拠するディオニュシオス,マクシモスの言葉
第三節 両者の見解の相違
第四節 パラマスの神化理論
第五節 「エンヒュポスタトン」について
第六節 結論的考察
第三章 「人間の神化」は語り得るものか?
はじめに
第一節 問題へのアプローチ
第二節 (I)について
第三節 (Ⅱ)について
第四節 われわれにとっての課題
Ⅲ 講演 ビザンツ的綜合の精神――グレゴリオス・パラマスに見る伝統の「継承」と「改新」
はじめに
第一章 ビザンツの思想状況
第一節 図『キリスト教思想の成立』を見て
第二節 ビザンツにおける神学と哲学の微妙な関係
第三節 霊性の世界
第四節 「異郷の哲学」に基づいた人々
第五節 九―十五世紀のビザンツ哲学興隆
第二章 パラマス的綜合
第一節 パラマスを取り巻く状況
第二節 パラマスにとっての権威
第三節 パラマスの基本的考え
第三章 パラマス的綜合の例
第一節 偽ディオニュシオスに基づいて
第二節 『スコリア』に基づいて
第三節 パラマスのテーゼの再確認
第四章 最大の損失とビザンツの遺産
終章 現代的視点からの提言
あとがき
初出一覧
参考文献
索引
内容説明
東方正教と西方カトリックの対立は根強く,神学的な大論争が起こると両者の歩み寄りはますます困難になり,東方キリスト教思想にとって不幸な時代が長く続きました。
著者は,対立して優劣を競うより,それぞれの姿を浮き彫りにし,互いに触れ合うことを長年にわたり心掛けてきました。本書はその長い旅路での出会いや考えた事柄を通して,その本質や背景にある事情を伝えるエセーです。
Ⅰ部では,西ヨーロッパに散在する東方キリスト教の息づかいを求め,カラーブリア,地中海,ローマ,ヴェネツィア,ラヴェンナ,シェヴトーニュ,ブルゴーニュ,パリ,ロシアなど多くのビザンツの足跡を訪ね,その経験を通して私にとっての東方キリスト教の意味を実感しました。
Ⅱ部では,さまざまな体験を踏まえ東方キリスト教を根底で支えている問題を考えます。聖書に示された人間創造の原初に立ち帰り,神が託した人間の使命とそれを果たすための能力に注目。西方では軽視された東方キリスト教の特徴である「人間の神化」という究極の人間理解について偽ディオニュシオスとパラマスを中心に解明します。
Ⅲ部は講演で,東方キリスト教の精神を育んだビザンツの精神状況をビザンツ神学の大成者パラマス(1296頃-1359)をベースに分かり易く紹介したビザンツ神学入門です。
日本的思考を身につけ育った著者が,ビザンツ神学と出合って感じた違和感は越えがたいものでした。それを克服するために研究と旅が生涯の営みとなりました。わが国でも東方キリスト教は遠い存在です。東欧やロシア,ビザンツを知るために,本書が役立つことを願っています。
著者は,対立して優劣を競うより,それぞれの姿を浮き彫りにし,互いに触れ合うことを長年にわたり心掛けてきました。本書はその長い旅路での出会いや考えた事柄を通して,その本質や背景にある事情を伝えるエセーです。
Ⅰ部では,西ヨーロッパに散在する東方キリスト教の息づかいを求め,カラーブリア,地中海,ローマ,ヴェネツィア,ラヴェンナ,シェヴトーニュ,ブルゴーニュ,パリ,ロシアなど多くのビザンツの足跡を訪ね,その経験を通して私にとっての東方キリスト教の意味を実感しました。
Ⅱ部では,さまざまな体験を踏まえ東方キリスト教を根底で支えている問題を考えます。聖書に示された人間創造の原初に立ち帰り,神が託した人間の使命とそれを果たすための能力に注目。西方では軽視された東方キリスト教の特徴である「人間の神化」という究極の人間理解について偽ディオニュシオスとパラマスを中心に解明します。
Ⅲ部は講演で,東方キリスト教の精神を育んだビザンツの精神状況をビザンツ神学の大成者パラマス(1296頃-1359)をベースに分かり易く紹介したビザンツ神学入門です。
日本的思考を身につけ育った著者が,ビザンツ神学と出合って感じた違和感は越えがたいものでした。それを克服するために研究と旅が生涯の営みとなりました。わが国でも東方キリスト教は遠い存在です。東欧やロシア,ビザンツを知るために,本書が役立つことを願っています。