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能動的綜合

講義・超越論的論理学 1920-21年

能動的綜合
著者 エトムント・フッサール
山口 一郎
中山 純一
ジャンル 哲学・思想
シリーズ 知泉学術叢書
出版年月日 2020/12/30
ISBN 9784862853264
判型・ページ数 新書・316ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

凡例

序論 能動的自我に関する研究の課題設定
 第1節 能動性と受動性との関係
 第2節 心情の意識の構成的能力。感情の触発と感情の対向。意志と欲望
 第3節 遊戯的意識と定立的意識

第1章 能動的客観化
 第4節 認識の関心と認識の努力
 第5節 顕在的な確知
 第6節 同一化の能動的綜合。客観化のもっとも厳密な意味

第2章 判断の根本構造と根本形式
 第7節 判断の可能的客観化とその構成部分。統語論的素材,及び統語論的形式と連辞〔シンタグマ〕
 第8節 遍時間性という意味における判断命題の理念性
 第9節 規定づける全体的な同一化の結果として生じる判断の諸形式

第3章 統語論的な研究方向と対象理論的な研究方向
 第10節 感性の対象と知性の対象。基体の対象と規定づけの対象。独立的対象と非独立的対象
 第11節 全体と部分。全体の特殊なケースとしての集合
 第12節 非独立的な判断項,独立的諸判断と判断の諸連関
 第13節 論理的意味
 第14節 事態と判断命題との区別

第4章 客観化の段階の行程
 第15節 客観化の第一の段階の二つの段階。すなわちたんなる直観と顕在化する観察の段階
 第16節 客観化の第二の段階。すなわち能動的な関係づけと能動的な規定づけ。普遍的な関係性理論の課題
 第17節 客観化の第三の段階。すなわち一般性の意識に基づいた概念把握する判断
  a)比較の関係。その基礎としての類似性連合と一般的なものに向かう関心の方向
  b)知性の新たな種類の対象性としての一般的なもの
  c)一般‐判断

補完テキスト
 付論1(第4節に関して):主題と理論的関心
 付論2(第6節に関して):認識作用としての規定すること
 付論3(第7節に関して):統語論的形式化〔Formung〕
 付論4(第8節に関して):意味の対象性の理念性とスペチエス〔種〕の理念性
 付論5(第9節に関して):主要な規定づけと副次的な規定づけ,そして主文と副文への分節化
 付論6(第10節に関して):絶対的な基体と規定が独立したものとしての基体
 付論7(第11節と第17節bに関して):多数性と多数性の判断
 付論8(第11節に関して):集合と全体
 付論9(第15節と第16節に関して):対象,そして関心の内容
 付論10(第16節に関して):カテゴリー的な結合と関係,そして非-カテゴリー的な結合と関係
 付論11(第16節に関して):関係性理論の課題

訳者解説1(中山純一)
  1 『能動的綜合』というテキストについて
  2 本テキストと『経験と判断』の関係
  3 本テキストと『形式論理学と超越論的論理学』の関係
  4 本テキストと『論理学研究』第二巻三の関係
  5 まとめ

訳者解説2(山口一郎)
  1 はじめに
  2 超越論的論理学における受動性と能動性の関係
  3 発生的現象学における『能動的綜合』
  4 まとめの考察

あとがき
索引

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内容説明

本書『能動的綜合』は,『受動的綜合の分析』と合わせて1920/21年の「超越論的論理学」講義を構成する。これにより後期フッサールへの転換期に位置する本講義の全体像が明らかにされる。

「超越論的論理学」の特徴は,主語と述語による判断形式により形式的規則性を明らかにする従来の論理学に対し,認識論的関心からすべての学問の基礎づけとなる学問論的特性を解明することにある。

学問における研究対象はどのように与えられるのか,その所与性の解明,すなわち「究極的な与えられ方に立ち戻る究極的な学問」こそが「超越論的論理学」にほかならない。その究極的な与えられ方とは「意識によって構成された構成のされ方」を意味する。

フッサールの超越論的意識の構成分析は,『イデーン』期の「ノエシス―ヒュレー―ノエマ」の認識図式という超時間的な本質構造を解明する「静態的現象学」として展開したが,本講義に象徴されるように,1920年代になり本質構造そのものの生成を問う発生的現象学の研究領域への移行を通して解明されることになった。

本書は発生的現象学における後期フッサール現象学を考察するうえでも,またその転換期の様相を知るためにも必読の文献である。

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