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勢 効力の歴史

中国文化横断

勢 効力の歴史
著者 フランソワ・ジュリアン
中島 隆博
ジャンル 東洋学
出版年月日 2004/08/31
ISBN 9784901654371
判型・ページ数 A5・352ページ
定価 本体4,600円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

「勢」という語は地位や事態あるいは権力,潜勢力など多義的に用いられるが,本書はこの言葉を鍵概念として多面的に中国文化の実相に迫る画期的な作品である。
静と動という二項による思考は,抽象的ではあるが現実を表象する有効な方法である。しかし西洋の論理はこの二項の間にあって実際に存在し働いているものを捉える術を持たなかった。著者は,あらゆる状況とは同時に事態の推移であるとし,それを感知するために〈勢〉の内部に一貫して働く論理を明らかにして,中国の政治から文化,歴史にいたる広範な現象の意味を見事に解明する。
第1部では,配置と地位が兵法や政治においてもつ規定的な働きを考察する。2部では,書において文字の形を貫いて働く力を,絵画では配置から出てくる緊張を,そして文学では文章の布置から生じる効果が論じられる。3部では,歴史状況から出てくる趨勢と,自然のプロセスを支配する勢いが問われる。
ギリシア哲学研究から出発し,中国思想へと関心を移してきた著者の考察は,おのずとしてヨーロッパと東洋の思想的折衝点を際立たせるとともに,ミシェル・フーコーらによって企画されたデ・トラヴォ(研究)叢書に迎えられた本書は,グローバルな場で思想がもつ差異をとおして新たな可能性を切り開く刺激に富む試みである。

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