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中国思想史

中国思想史
著者 アンヌ・チャン
志野 好伸
中島 隆博
廣瀬 玲子
ジャンル 東洋学
出版年月日 2010/06/20
ISBN 9784862850850
判型・ページ数 菊判・712ページ
定価 本体7,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 論

第Ⅰ部 中国思想の古層(紀元前2000年紀~前5世紀)
第1章 殷と周の原初文化
第2章 人に賭ける孔子
第3章 孔子の教えに挑む墨子

第Ⅱ部 戦国時代の自由な議論(紀元前4世紀~前3世紀)
第4章 荘子――道を聴く
第5章 戦国時代の言説と論理
第6章 孟子――孔子の精神の継承者
第7章 『老子』の無為の「道」
第8章 荀子――孔子の現実主義的な継承者
第9章 法家
第10章 宇宙論的思想
第11章 『易』

第Ⅲ部 遺産の整理(紀元前3世紀~後4世紀)
第12章 漢代の全体論的な世界観
第13章 3・4世紀の思想復興

第Ⅳ部 仏教の隆盛(1世紀~10世紀)
第14章 中国への仏教の伝来(1~4世紀)
第15章 十字路に立つ中国思想(5~6世紀)
第16章 唐代における仏教文化の開花(7~9世紀)

第Ⅴ部 仏教を同化した後の中国思想(10世紀~16世紀)
第17章 宋初における儒教復興(10世紀~11世紀)
第18章 文と理――北宋(11世紀)の思想
第19章 南宋における大いなる総合(12世紀)
第20章 明代における心の思想(14~16世紀)

第Ⅵ部 近代思想の形成(17世紀~20世紀)
第21章 清代の批判精神と経験的アプローチ(17~18世紀)
第22章 西洋に直面した中国思想(18世紀末~20世紀初頭)

エピローグ

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内容説明

家庭環境は中国の文化,学校教育はフランスの文化という異なる二つの世界の狭間で,絶えず「誰かの他者」であると感じる居心地の悪さのなかで,著者は中国文化を継承しつつもそれに囚われず,ヨーロッパ的理性の批判的分析を活用することにより,本書を構想した。
特定のイデオロギーやオリエンタリズムに陥ることなく,歴史における様々な可能性に目配りしながら,なぜある特定の思想的選択がなされたかを明らかにし,さらに中国思想に固有の問題系を普遍的位相で展開する独自な方法によって他に類を見ない成果を生み出した。
著者はテクストの緻密な読解と最先端の研究成果を咀嚼し,諸子の思想や儒・道・仏の三教が対抗しあいながらも,互いの思想を糧として自らの思想を深めてゆくダイナミックな過程を鮮やかに描き出す。また思想の違いについても,道や理といった概念の解釈だけではなく,水・鏡・秤などの喩えによって平易に説明するとともに,多くのテクストを引用して作者自身に語らせることで,読者が自ら判断を下せるように配慮した。
学生や研究者だけでなく,わたしたちが多元的な世界に生きていることに気づいているすべての教養人のための入門書として書かれた本書は,フランスの碑文・文芸アカデミーや倫理学・政治学アカデミーの賞を受け,6か国語に翻訳されてヨーロッパでは標準書となっている。わが国でも将来にわたり基本書として迎えられよう。

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