ホーム > 王国・教会・帝国

王国・教会・帝国

カール大帝期の王権と国家

王国・教会・帝国
著者 五十嵐 修
ジャンル 歴史 > ヨーロッパ中世史
出版年月日 2010/11/30
ISBN 9784862850874
判型・ページ数 菊判・512ページ
定価 本体7,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 章

 第Ⅰ部 出発点――新しい王朝

第1章 伝統と変容

第2章 新しい王朝と教皇座

 第Ⅱ部 カール大帝期の王権と国家

第3章 イタリアへ――780年代までのフランク・ランゴバルト・ローマ教皇座

第4章 統治の技法――治世初期のカールの勅令

第5章 教化と宣誓――統合の試み

第6章 アルクインと新しい政治思想

第7章 聖戦の思想

第8章 ビザンツとの対抗意識の醸成

第9章 皇帝戴冠への道

第10章 皇帝戴冠の波紋

第11章 改革の試み――第二の転換点

第12章 「ダビデ」と「皇帝」のあいだ

第13章 『王国分割令』(806年)と二帝問題

第14章 「王国」「教会」「帝国」

結 論

付録1~4/文献表/付図/地図/カロリング家の系図

あとがき(小倉欣一)

このページのトップへ

内容説明

西ローマ帝国の崩壊後,ローマ教皇座はビザンツの統治下にあり,ヨーロッパに普遍的な政治権力は存在しなかった。この状況は8世紀から9世紀にかけ,とりわけ800年のカール大帝の戴冠を頂点として大きく変貌した。カールは皇帝権の再興とキリスト教化へ,ローマ教皇はビザンツと決別してローマ・カトリック世界の確立へと踏み出し,教皇権と皇帝権を中軸にした西欧中世世界が次第に姿を現わすに至った。
フランク王国,ローマ教皇座,ビザンツ帝国の三者の関係の推移を検討すると同時に,フランク王国内の変化を勅令や書簡の分析を通して解明する。宮廷聖職者や俗人貴族により構成されるフランク宮廷は,人々にキリスト教徒としての共同意識を与え,王国内の多様な法・習慣・言語の差異を克服しつつ,宣誓を通して王国の構成員を服属させ,さらにはカロリング・ルネサンスによる文字文化の浸透を背景に,勅令をもって支配者の意志を徹底させて,統治の実現を図った。
著者はこれらの展開を通してカールの戴冠が何をもたらし,国家と教会の関係,王国と帝国との関係はどうあったのかを明らかにし,中世ヨーロッパ形成の真実に迫る。長く基本文献として迎えられよう。

このページのトップへ