ホーム > フィヒテ哲学の行路
目次
序 批判主義の徹底――カントからフィヒテへ
序
1 哲学の学問性と批判哲学の理念
2 理性批判と表象能力の理論
3 自然的実在論と根元哲学批判
4 経験的意識と事行
第Ⅰ部 原理の探究
第1章 体系知の理念と可能性
序
1 知識学の理念と体系
2 『基礎』の方法
3 根本命題への理路
4 知的直観と体系の方法
第2章 知的直観の原理性
序
1 知性と知的直観
2 否定的反省としての自己内還帰
3 第一根本命題の内部構造
4 反措定と総合
第3章 自己存在への道――デカルトとフィヒテ
序
1 方法的懐疑の道程
2 コギトとスム
3 事行への媒介過程
4 存在措定の困難
第4章 超越論哲学の理念と知識学の課題
序
1 カントにおける超越論哲学の理念
2 知識学と超越論哲学
3 フィヒテ批判と知識学の変貌
4 超越論哲学の体系性
第Ⅱ部 絶対者と絶対知
第1章 世紀転換期の論争状況――フィヒテ,シェリングの応酬とヘーゲル
序
1 『差異論文』の視点と論戦の実相
2 絶対者と明証の限界
3 絶対知と絶対的無差別
4 ヘーゲルとフィヒテの接近
第2章 絶対知論の先駆――『1801年の知識学』とヘーゲル
序
1 純粋存在と純粋知
2 絶対知と学の境位
3 知識学における知の位相と絶対性
4 ドイツ観念論史とフィヒテ
第3章 絶対者の反省的認識――弁証法の開拓
序
1 弁証法の歴史と類型
2 無限性と無限判断
3 措定判断と反省
4 絶対者の反省的認識
第4章 実在論への転換――存在への階梯
序
1 思弁の原理の偏倚
2 主観性の超克
3 実在論への転換
4 存在への階梯
第Ⅲ部 現象の必然性と自由
第1章 超越論哲学の位相と現象論の課題――1804年の知識学
序
1 知識学の理念と課題
2 概念と光
3 観念論と実在論の対立
4 意識,自体,純粋存在
第2章 真理論と現象論
序
1 知識学の内部対立
2 真理への道行き
3 存在の記述可能性
4 現象論の前提
第3章 現象論の意義
序
1 現象論の端緒
2 知と発生と原理
3 絶対知の自己投映
4 現象の思想
第4章 ドイツ観念論の布置
序
1 カント哲学の継承と完成
2 知識学の課題
3 絶対知への階梯
4 現象論の体系的意義と批判性
第Ⅳ部 知識学の境位
第1章 存在の自己開示――1805年知識学の現存思想
序
1 同一性哲学のアポリア
2 フィヒテの体系構想――真理論と現象論の循環
3 エルランゲン講義における現存思想
4 知識学と自由
第2章 超越論哲学の実現――1811年の知識学
序
1 現象の演繹――スピノザとの対話
2 現象の自立性と自由
3 図式における多様性と統一
4 知識学の当為と実践
第3章 知識学の針路――1812年の知識学
序
1 現象の必然性
2 図式の重畳
3 見照の理論
4 自由と意志――知識学の針路
第4章 フィヒテと近代批判
序
1 近代批判の動機
2 反省哲学との格闘
3 思弁的真理と反省の射程
4 観念=実在論の競合
あとがき
索引
序
1 哲学の学問性と批判哲学の理念
2 理性批判と表象能力の理論
3 自然的実在論と根元哲学批判
4 経験的意識と事行
第Ⅰ部 原理の探究
第1章 体系知の理念と可能性
序
1 知識学の理念と体系
2 『基礎』の方法
3 根本命題への理路
4 知的直観と体系の方法
第2章 知的直観の原理性
序
1 知性と知的直観
2 否定的反省としての自己内還帰
3 第一根本命題の内部構造
4 反措定と総合
第3章 自己存在への道――デカルトとフィヒテ
序
1 方法的懐疑の道程
2 コギトとスム
3 事行への媒介過程
4 存在措定の困難
第4章 超越論哲学の理念と知識学の課題
序
1 カントにおける超越論哲学の理念
2 知識学と超越論哲学
3 フィヒテ批判と知識学の変貌
4 超越論哲学の体系性
第Ⅱ部 絶対者と絶対知
第1章 世紀転換期の論争状況――フィヒテ,シェリングの応酬とヘーゲル
序
1 『差異論文』の視点と論戦の実相
2 絶対者と明証の限界
3 絶対知と絶対的無差別
4 ヘーゲルとフィヒテの接近
第2章 絶対知論の先駆――『1801年の知識学』とヘーゲル
序
1 純粋存在と純粋知
2 絶対知と学の境位
3 知識学における知の位相と絶対性
4 ドイツ観念論史とフィヒテ
第3章 絶対者の反省的認識――弁証法の開拓
序
1 弁証法の歴史と類型
2 無限性と無限判断
3 措定判断と反省
4 絶対者の反省的認識
第4章 実在論への転換――存在への階梯
序
1 思弁の原理の偏倚
2 主観性の超克
3 実在論への転換
4 存在への階梯
第Ⅲ部 現象の必然性と自由
第1章 超越論哲学の位相と現象論の課題――1804年の知識学
序
1 知識学の理念と課題
2 概念と光
3 観念論と実在論の対立
4 意識,自体,純粋存在
第2章 真理論と現象論
序
1 知識学の内部対立
2 真理への道行き
3 存在の記述可能性
4 現象論の前提
第3章 現象論の意義
序
1 現象論の端緒
2 知と発生と原理
3 絶対知の自己投映
4 現象の思想
第4章 ドイツ観念論の布置
序
1 カント哲学の継承と完成
2 知識学の課題
3 絶対知への階梯
4 現象論の体系的意義と批判性
第Ⅳ部 知識学の境位
第1章 存在の自己開示――1805年知識学の現存思想
序
1 同一性哲学のアポリア
2 フィヒテの体系構想――真理論と現象論の循環
3 エルランゲン講義における現存思想
4 知識学と自由
第2章 超越論哲学の実現――1811年の知識学
序
1 現象の演繹――スピノザとの対話
2 現象の自立性と自由
3 図式における多様性と統一
4 知識学の当為と実践
第3章 知識学の針路――1812年の知識学
序
1 現象の必然性
2 図式の重畳
3 見照の理論
4 自由と意志――知識学の針路
第4章 フィヒテと近代批判
序
1 近代批判の動機
2 反省哲学との格闘
3 思弁的真理と反省の射程
4 観念=実在論の競合
あとがき
索引
内容説明
カントの哲学理念を受け継ぎ,知識学を通してその展開を試みたフィヒテは,無神論論争に巻き込まれ不本意にもイェーナ大学を辞した。シェリングの残るイェーナには,その後ヘーゲルが赴任した。彼はフィヒテとその前任者ラインホルトを批判し,シェリングとともに新たな思想史の革新を目指した。
フィヒテはその批判に抗して独自の思索を展開する。彼の知識学は,ラインホルトとシュルツェの論戦を批判する中で生まれた批判的論争的なものであった。
ベルリンに移ったフィヒテは自らの思想の深化と彫琢に努め,シェリングと新しい批評誌を構想しつつシェリングの同一哲学の欠陥を指摘する。そうした中で,フィヒテは自我を主題とする初期思想から,絶対者とその現象を主題とする中・後期思想に転じ,それはシェリングに影響を与え,シェリングとヘーゲルの差異をも示唆し,両者はやがて袂を分かった。後期シェリングの積極哲学やヘーゲルの「現象する絶対者」の着想は,フィヒテを抜きにしては理解できない。
カントに始まるドイツ観念論は,フィヒテ,シェリング,ヘーゲルによる直線的発展ではなく,相互批判を通して,各自の思想が深化・発展していく多面的過程として総合的に考察することが肝要である。本書はヘーゲル研究を踏まえて,フィヒテの一連の思索を詳細に分析,ドイツ観念論の新たな地平を示す意欲作。
フィヒテはその批判に抗して独自の思索を展開する。彼の知識学は,ラインホルトとシュルツェの論戦を批判する中で生まれた批判的論争的なものであった。
ベルリンに移ったフィヒテは自らの思想の深化と彫琢に努め,シェリングと新しい批評誌を構想しつつシェリングの同一哲学の欠陥を指摘する。そうした中で,フィヒテは自我を主題とする初期思想から,絶対者とその現象を主題とする中・後期思想に転じ,それはシェリングに影響を与え,シェリングとヘーゲルの差異をも示唆し,両者はやがて袂を分かった。後期シェリングの積極哲学やヘーゲルの「現象する絶対者」の着想は,フィヒテを抜きにしては理解できない。
カントに始まるドイツ観念論は,フィヒテ,シェリング,ヘーゲルによる直線的発展ではなく,相互批判を通して,各自の思想が深化・発展していく多面的過程として総合的に考察することが肝要である。本書はヘーゲル研究を踏まえて,フィヒテの一連の思索を詳細に分析,ドイツ観念論の新たな地平を示す意欲作。