カントの政治哲学に関わる論争的な言説を追究し,18世紀ドイツにおける公共圏の形成についてカント哲学の貢献を検討する。自由の権利の正当化,平等の扱い,国家の権威に関わる彼の法哲学と政治哲学の解明を通して近代哲学創始の瞬間をも明らかにする。
イタリア・ルネサンス期を代表する人文主義者の一人ボッカッチョが残した多くのラテン語作品のうち,古くから読み継がれてきた106人の女性の伝記集。自筆写本および三種の校訂版を参照し,詳細な注を施した決定訳。ラテン語原文を全文収録。
江戸時代初期は明が滅亡し清に王朝が交代する変動期であった。鎖国前に明から来日し,尾張藩に仕えた陳元贇に焦点を当て,彼が日本で執筆した『老子経通考』の分析を通して,近世老子思想の日本における受容を解明。日中文化交流史にも一石を投じる画期的業績。
シェリングの考察からハイデガーのシェリング解釈をへて,ハイデガーの真理論を論じる。特にシェリングの無底の理解から,ハイデガーの真理論における深淵/脱根底の働きを導出し,理性では理解できない否定神学的省察により〈形而上学の克服〉を遂行した。