本巻では「自己意識」「理性」「精神」「宗教」「絶対知」章を収録。『精神現象学』には底本にふさわしい原典がなく,これまでの翻訳諸版も参考にしながら国内外の『精神現象学』の古典的研究の集大成を目指した。ヘーゲルの主著,研究者待望の最新訳。
アリストテレス倫理学を踏まえ,貨幣の起源,本性,権利,改変について考察した論考である『貨幣論』の全訳と,訳者による著者と作品についての詳細な解説,さらに疫病と戦争に象徴される14世紀中頃の北フランス世界の歴史的環境への考察を付した貴重な一書。
後期旧石器時代の終末期に,北海道から本州にもたらされた湧別技法白滝型の細石刃石器群。その製作技術と石材の分析を通じて,海峡をはさみダイナミックに変容する旧石器人類の動態と環境適応を解明する基盤的研究。黒曜石の原産地や石材消費の変遷にも迫る。
哲学史において誤解されてきたライプニッツ『弁神論』の理論的意義を再評価する。最善世界説を神の自由,倫理,世界の秩序と結びつけ,道徳的論証により擁護した議論を精緻に分析。さらにカントの批判など受容史を考察し,近代哲学への影響を明らかにする。
ハイデッガーと新カント派のリッカートが交わした43通の往復書簡を収録。1900年代初頭に隆盛を極めていた新カント派の研究と批判によりハイデッガーが思索を練り上げ『存在と時間』(1927年)へ至る姿などを垣間見ることができる有意義な資料。